仕事解説
医療事務の資格って何がある?おすすめの種類や難易度など情報まとめ。
2021/04/16
病院やクリニックの事務職といえば医療事務。病院・クリニックという安定した環境、残業が少ない、転居した場合も再就職しやすいなどの理由から、医療事務は大変人気となっています。医療事務について調べていくと、資格の情報がたくさん出てきます。医療事務に関する資格は数・種類ともにとても多く存在しますが、就職の際、医療機関は医療事務の経験を重視することが多いため、資格が必ず必要というわけではありません。とはいうものの、未経験から医療事務になりたい方にとっては、資格を取ることでプラスとなる可能性があるのであればチャレンジしたいと思いますよね。また、病院によっては資格手当を設けているケースもありますので、収入アップの可能性もあります。今回は、気になる医療事務の資格について、おすすめの種類や難易度などをご紹介します。
医療事務の資格とは
まず大前提となりますが、医療事務は国家資格ではありません。その点では医師や看護師・薬剤師などとは異なり、資格がなければ働けないというわけではありません。しかし、医療行為には携わらない仕事だとしても、一般企業とはまた違った環境での仕事になりますので、専門的な知識が必要とされる業務もあります。そのために、民間の医療事務の資格がとても多く存在しているのです。
50以上とも言われる、医療事務の資格。ここまで種類がたくさんあると、どの資格を取得したらいいか迷ってしまいますよね。そこで今回は、数ある医療事務の資格の中からおすすめのものを4つピックアップしてご紹介します。
おすすめの医療事務の資格
①診療報酬請求事務能力認定試験
概要
医療事務の資格の中で最も難しいと言われており、それゆえに医療機関からの評価が一番高い資格なのが「診療報酬請求事務能力認定試験」です。この試験は公益財団法人日本医療保険事務協会という団体が実施しており、民間資格ではありますが厚生労働省が後援している検定試験になります。
医療事務が診療報酬請求(レセプト業務)の実務を正しく行うために必要な能力を認定する資格で、年2回(7月・12月)に全国で一斉試験が行われます。試験は学科試験と実技試験で構成されており(どちらも筆記試験)、学科では医療制度やその他の法令、および診療報酬点数表に関する知識が問われます。実技は、カルテから手書き方式でレセプトを作成するという試験になります。
難易度
他資格の合格率の平均が50~70%程度と言われているのに対し、診療報酬請求事務能力認定試験の合格率は約30%となっており、たいへん難易度が高い資格です。そのため医療機関からの評価が高く、最もおすすめの資格となります。最近では医療事務系の学校で取得を推奨しているケースも多いようです。
②医療事務技能審査試験(メディカル クラーク®)
概要
40年以上という長い歴史と実績があり、受験者数が最も多く試験の規模が最大となっているのが「医療事務技能審査試験(メディカル
クラーク®)」です。一般財団法人日本医療教育財団という団体が実施しており、医療事務の資格のなかでも“スタンダード”と言えるとても人気の資格となっています。診療報酬請求に関する知識のほか、医療機関の窓口業務において重要とされる接遇の対応・院内のコミュニケーション能力についても問われる試験内容となっているのがポイントとなっています。
医療事務技能審査試験(メディカル
クラーク®)の試験は「医科」の場合は年12回行われています。2019年から在宅試験もできるようになっており、試験当日の午前中に問題が郵送されて自宅で受験します。学科・実技Ⅰ・実技Ⅱの3科目から成っており、すべての科目の得点率が70%以上で合格となります。なお、2科目で70%以上だったが1科目だけ70%を満たさず不合格となったケースでも、70%以上の科目は6か月間は有効で受験が免除されるので、その間は残りの1科目のみが70%以上となれば合格となります。
難易度
医療事務技能審査試験(メディカル
クラーク®)の合格率は、正確な合格率は公表されていないのですが、おおむね60%なのではないかと言われています。もっとも難しいとされている「診療報酬請求事務能力認定試験」に比べればぐっと合格率はアップしますし、こちらも業界での知名度が高いのでおすすめの医療事務の資格となっています。
③医療事務管理士® 技能認定試験
概要
技能認定振興協会(JSMA)という団体が実施している試験になります。この資格は日本で初めての医療事務の資格といわれており、「医療事務技能審査試験(メディカル
クラーク®)」と同様に長い歴史があり、認知度も高い資格となっています。医療保険制度などの法規、診療報酬請求、臓器や疾患などの医学一般、これら3つの分野の知識が問われる試験です。試験方法は、いまは在宅試験とインターネット試験の2パターンが用意されています。在宅試験は年6回ありますが、インターネット試験は自分の好きな日時・好きな場所でいつでも受験することができます。
難易度
JSMAのホームページには、医療事務管理士®
技能認定試験の合格率が公表されており、50%程度となっています。平均的な合格率になっていますし、自由な日時で受けられるインターネット試験もあることから、比較的挑みやすい資格ではないでしょうか。
④医療事務認定実務者®試験
概要
これまで医療事務の経験は持っていない、という方でまずは最初のステップとしてチャレンジしやすい資格からスタートしたいとお考えであれば「医療事務認定実務者」がおすすめです。全国医療福祉教育協会という団体が主催している試験で、2016年にスタートした資格になります。試験は、診療報酬・医療事務業務・各種制度・接遇とマナーに関する知識などが問われる学科試験と、レセプトを作成する実技試験の2段階に分かれています。会場受験のほかに在宅受験もでき、会場・在宅どちらの場合も参考資料やノート、電卓を利用しながらの受験ができるようになっています。学科・実技ともに60%以上の正答率で合格になります。
難易度
医療事務認定実務者®試験の難易度も主催団体のホームページに記載があり、合格率はおおむね60~80%です。高い合格率ですので、医療事務の初心者の方にとってもチャレンジしやすいと言えます。診療報酬請求事務能力認定試験のような難しい資格の取得をこれから目指していている方であれば、まずその前段階の勉強としてこちらの試験を受けるのもおすすめです。
まとめ
ここまで、おすすめの医療事務の資格を4つご紹介しました。たくさんある医療事務の資格の中で、こちらの4つを見ただけでも難易度や求められる知識が様々であることがおわかりいただけたかと思います。「医療事務として、病院やクリニックでどんな仕事がしたいのか」によって必要な資格も変わってくると思いますので、ご自身に合った資格を取得してキャリアアップにつなげましょう。
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